2019年6月15日土曜日

モーターと格闘する人々

6月まっただ中であります。

いかにも梅雨らしい空模様であります。

H-Dディーラーのスタッフになってから何回目の梅雨でしょうか、毎年この時期になるととても肝を冷やします。

オートバイを取り扱う業種としては雨天というのは、地震、雷ときて次に親父より先に雨です。

天候によってこれほど業績を翻弄される職種は筆者は他に知りません。 まぁ他にもあるかと思いますが、基本的に小雨でもお客様のご来店は激減致します。

ですのでビジネスとしては雨が降らぬに越したことはないのですが、生活環境を考えれば降らねばライフラインが崩壊しますから、筆者は雨を眺めながら毎年複雑な心境になります。

そう言えば最近ブログでまったく面白い事書かなくなったと言われた事がありますが、それはもう否めません、おじさん基本的スペックは低い人間で、色々なハードルを越えるのに必死ですから。(笑)

笑いを持ち込む余裕が欲しい物だなぁと思います。

定期的に今でもアリゾナの事を思い出す時があります。 当時筆者が師匠と仰いでいた人物がおりまして、今でも変わらず師匠と思っています。

その人物が、必死の形相で作業する筆者を見ては何度も言った言葉があります。

”Have  fun!"

本当にそれがどういう状態で、それがどれ位仕事をこなす上で良い条件なのかを知るには10年を要しましたが。 やはりこの辺が筆者の基本スペックの低さであります。

実際に13年位経ちましたが、今でもHave funは叶いません。出来る人は簡単にやってますが、割と結果の出来栄えが悪かったりするので両方ってのは難しいもんですね。

性格ですかねぇ。 これができなければ割腹すると何割かは本気で思って仕事してるので、なかなかそういう気持ちになれませんや。

それはそうとですが、今年はレース参戦が叶いそうもありません。

後ほど陸友レーシングのモーターの画像が出てくると思いますが、筆者の想像以上にブローした状態が酷く、9月までの復帰が絶望的になってしまいました。

その代りといってはなんですが、昨年このブログにて言っていたアメリカでもう一度行きたい場所があるのだと言っていましたが、11月辺りに本気で行こうかと思っています。

値段が高くなってしまうのでツアーという大袈裟なものではなく、飛行機のチケットだけ買って、後はレンタルバイクでぶらぶらとモーテルに泊まりながら現地まで行きたいなぁと思っています。

これが企画になるのかどうかちょっと筆者の妄想の段階なので、なんともですが、ご興味のある方は是非筆者までお声掛け下さい。

現地に弟子が一人修行をしていますのでその彼にガイドを手伝ってもらおうかと勝手に決めています。

しつこいようですが、ちなみに目的地はこれです。


ここでミルキーウェイを眺めながら薪をくべて、スコッチウイスキーを飲みます。

ちなみにアリゾナ砂漠のミルキーウェイは実際に肉眼で見てもこんな感じです。


如何でしょうか? やる価値はあると思います。

ただ問題は、なにせ一度しか行った事がなく、10年以上前の記憶なので場所の記憶がかなり薄い。 Google mapで探してみようかな。

さて、いつも通り陸友ファクトリーの様子でもご覧下さい。


FXSB君のフォークオーバーホール作業。


この35ミリのフォークは昨今でも華奢な見た目のせいか、フロントエンドをナローに見せるカスタムや、FX系ショベルのアイデンティティともいえる部分で人気があります。


とは言え、ショベルと言えども、車重はダイナ系の車重と大差はありませんので、非常に負荷が強く掛かってしまいハードクロームが剥がれたり、スクラッチでオイル漏れしている物が多く散見致します。



表面のハードクロームが剥離すると加速度的に摩耗は早くなり母材はシールにとっては大きな凹凸を生み出していきます。


剥離が進むのはやはりブッシングが干渉するラジアルの負荷部分。


今回はチューブも新品にします。 兎に角こういったレプリカが出ている事自体が素晴らしい事です。





35ミリのブッシングはチューブに引っ掛けて一緒に外す事ができませんので、少々取りづらい物があります。


何かSSTでも作ればいいのですが、忙しさにかまけてついつい捲って外します。


割ってしまえば一気に内包していたテンションは解放されてするすると出てきます。


新品は打ち込むだけ。





とてもしっとりと動く様になります。 カクンカクンと引っかかりのある動きをする物はそろそろO/Hをご検討されては。





なんだかんだで結構長いお付き合いのS様FLSTSC君。


個人的な感覚ですが、非常にいい具合を出すのが得意なロッカー調整。



100発100中で毎回好評を頂いております。


あまりやる時間がないのですが、こつこつFLデュオのレストア開始。 


見た目もなかなかハードでしたが、中身もまぁまぁ。


当たり前ですが結構何人かのメカの手が入っている印象。







分解と同時に見分精査しながら何をするべきか頭でまとめていきます。






問題はこいつ。 順当にいけばACでの肉盛りですが、60年分のオイルがタップリしみ込んだケースであり、隣に鋳込みのDCでアークを流すスチール系のベアリングスリーブがいるのがとても嫌。恐らくこの鋳込みの隙間にもオイル達がタップリ潜んでいるでしょう。

 一応やりますが・・

恐らくレフティベアリングを外すのにナットを叩いて回して失敗してケースにハンマーがヒットしたのだと思われるが・・・痛々しい。


M8も勿論やります。 114のビッグボアキットインストール。 年代のギャップが激しいモデルを同時にやっていると目がチカチカするんですよね・・。



如何でしょう?パンとM8、内燃機の進化が見てとれます。




構成部品の切削精度、母材の追加工、構成、スクリューの形状どれをとっても強烈な差がありますが、面白いのは燃焼室で行われる混合気が燃焼する化学反応だけは変化がない事。

これに尽きます。

そして時代はEVに突入していきます。 技術屋としてEVを取り扱える業種についている事はとても嬉しい限りです。


なんだか色んなモーターが出てきますが、こちらは陸友レーシング。


オイルパンを開放して中が地獄絵図になっていた事は結構ショックでしたが、メタルを見て1キロ痩せた気がします。



クランクシャフトを見て更に1キロ減量。


WPC施工した1枚1万5千円のメタルが2枚禿げているのを見て0.5キロ。


オイルジェットホルダーにコンロッドが動的クリアランス不足でレブ回転時に接触した模様。

衝撃でオイルジェットが吹き飛び、油圧が落ちてクランクピンが溶けてクランク溶接寸前。

コンロッドがプロペラになる所でした、転倒しなくて良かった。

静的クリアランスは十分にあったのでこれが甘読みだった・・・反省しかありません。


強度の要らない場所で幸いでしたがケースも割れていました。

修理屋冥利に尽きますね。

ではまた次回に。