2019年11月14日木曜日

陸友ファクトリーの人々

日が傾くのが早くなると妙に焦った気持ちになるのは筆者だけでしょうか?

一日が早く終わってしまうような、やるべき事が終わっていないのに一日が過ぎ去ってしまうようなそんな焦燥感に駆られます。

何とも心許ない冬の夕暮れはそれがまた良い感じで一年の暮を徐々に意識させてくれますので、季節の移り変わりを感じさせてくれます。


時候をブログの切り出しに使うとは、いかにも書くべきというよりは、書かなければというベクトルが否が応でも働いている感じがしてしまいます。

ここ一か月は少々体調がおかしくなってしまって、昔からお付き合いのある方はご存知の方も多いですが、筆者の少々変わった持病で失声症というのがありまして、色々とストレスが溜まると声が出せなくなるというヘンチクリンな持病があります。

こいつが筆者の想像以上に早い段階で出てしまい、結構驚きまして、発症するハードルが随分下がってきており、所謂発症癖がついてきている気がします。

肉体的には実はかなり健康体ですので、何の不安も無いのですが、この症状が出ると、当たり前ですが、かなり不便であります。 想像しうる生活の中であらゆることに不便であります。

例えば以下の様な不便があります。

①挨拶ができない
当たり前ですが声が出る前提でこんにちはと言われるわけですから、それに対して全力の笑顔で頭を下げるのみとなります。 そして何故かニコニコしているばかりで一言も発しませんから実に奇妙な構図になります。 

②コンビニでタバコが買えない
番号を言えないわけですから、当然タバコが買えません。 どうするか?レジ横で並べてある店のみを使用します。 間違っても指で番号を示す根性は筆者にはありません。

③コンビニで温めますか?
弁当を温めますか?と言われ、ウンウンと全力で首を縦に振ります。 かなり奇妙です、しかし、稀にこちらを見てくれない店員もいるのでその際は唸ります。 んん!ごほ!
んご!って言います。 そしたら温まっていないのが出てきます。

④中間管理職無理
当然ながら中間的指示系統の役割を担っている人間は日常的に判断と支持を繰り返します。下手すれば1日何十回と指示を出します。 はっきり言って筆談で指示を出すのは不可能に近いです。 芥川賞の文豪でも無理です。 微妙なニュアンスとか理解させる為の間合いが取れません。

⑤接客無理
お客さんに工学的な説明をする際にこれも上記の理由で不可能です。

⑥怒れない
部下が失敗しても怒れません、怒るとまたんん!!おご!ほっほ!んご!ってなるので、ゴリラの物真似していると思われて失笑を買いますよ。 また、文字でバカヤロウ!って書いても全然迫力ありません、ちょっと可愛いな位になってしまいます。

⑦犬が暴走する
犬がなめてかかってきます、コラ!とか言えないので、無茶苦茶してきます。いくらやっても怒られないので仕舞には飛びかかってきます。 そこでまたんご!んご!ごっほ!ってなりますからなめられっぱなしです。

色々ありますが、実は筆者はこの体験をできてよかったなぁと思っています。

筆者は結構多彩な体験をしてきている自負がありますが、この体験は結構貴重というか、色んな事を考えさせられます。

人それぞれ、色んな病気や悩みや負担を抱えていたりして、声が出なけりゃ、耳が聞こえない人が居たり、腕が無い人もいたり、自閉症だったり、目が見えない人もいたりします。

悩みなんてない人はいないとよく言いますが、本当にその通りだと思います。

まぁ絶望に打ちひしがれる様なことは日常そんなに多々あるわけでは無いと思いますが、色んな本を読んでおりますと児童養護施設等の抱える問題などは結構心にグサリと来ることが多いです。

内情を知れば知るほど日々何の不便もない生活に感謝を抱けるようになります。

そんな話をしだすと、世界が抱える問題というのは山積の度を越えてお先真っ暗位の勢いがありますが、まぁそうはいっても個人個人はどんどん先に進まねばなりませんから、せめて近しい人には、特に人間的に素敵な人には、善行が行えるように善処したいと思う日々であります。

言葉で誰かに想いを伝えられない世界、見えなかった物が見えるようになります。 全盲の方は夢の中でも景色は見えないそうです。

夢の中でも真っ暗で、それでも夢の中で手探りで色んな事をやるらしいです、夢は記憶によって構築されていくので、記憶に無いものは再現不可能ということでしょう。

夢の中で大切な人が出てきたら、それはとても貴重な事だと筆者は思うようになりました。

なんだか神妙なブログになってしまいましたが、実はこのブログ、誠に勝手ながら今回で一区切り、暫く休止することと致しました。

不穏な意味ではなく、WITH HARLEYという紙面のコラムコーナーにて、毎月連載コラムを任を頂きまして、毎月そちらの原稿を仕上げねばならず、流石にただでさえこちらのブログ少々弛みが出てきていたところでしたので、惰性はいかんなと思い、そういった判断を致しました。

なので雑誌を購入してくれという事はあまり言える方の性格ではありませんが、数百円で買えるものですので、もしご負担でなければ、筆者の鬼気?迫る文面、是非ご一読頂ければこれ幸いでございます。

予定原稿の冒頭の一文はこちらから始まります。

産業道路沿いを走る大型トレーラーの轟音に交じって、手を叩く音が聞こえる。
拍手喝采という音ではない、パン!と単発の誰かに気付かせる為の手を叩く音だ。
どこかで聞いたことがある音だと思ったら、あぁ、あれだ、犬を呼ぶ時に飼い主がよくやるあれだな。と、顎に垂れてくる鬱陶しい汗を拭いながら、少年は弾ける音の意味を思い出す。
手を叩く音の後に野太い声が続く。
「おい!おーい!」・・・・

色んな人の為になる物を書いて欲しいとリクエストを貰ったので、負けそうな人、挫けそうな人を支える物を書いていきたいと思います。

こちらのブログ、陸友ファクトリーの人々、5年間以上の長きに渡りご愛読ありがとうございました。

暫しのお別れとなります。

それでは。